SEOコンサルタントの需要はデジタルマーケティングの世界で急速に成長しています。この記事では、SEOコンサルタントとはなにか、SEOコンサルタントの役割や仕事内容、年収や将来性、成功するために必要なスキルなどを分かりやすく解説しています。

SEOコンサルタントとは

SEOコンサルタントとは、クライアントが運用するWebサイトへの流入数を増やし、売上や利益、集客などの目標を達成させるためのコンサルティングを行う職種のことです。そもそもSEOとは「Search Engine Optimization」（検索エンジン最適化）の略で、Webサイトが検索結果の上位に表示できるよう最適化するプロセスのことです。ユーザーのニーズに合致した情報を提供できるよう、検索エンジンに対してWebページの情報を正確に分かりやすく伝えるための技術的な対応を行うものです。

SEOコンサルタントの役割

SEOコンサルタントが担う役割は、Webサイトを通じてクライアントのビジネス目標を達成するための支援をすることです。SEOには「これが正しい」と言った正解がありません。また、SEOには即効性がないものも多く、効果が出るまでに一定の期間を要することもあります。そのため、SEOコンサルタントはクライアントにSEO戦略の方向性を指し示し、最適解に導いていくことが求められます。

SEOコンサルタントの仕事内容

次にSEOコンサルタントの仕事内容にはどんなものがあるのかを解説します。SEOは場合によっては事業全体を左右することもある重要なものです。そのため、SEOコンサルタントの仕事内容は多岐に渡り、専門的なスキルが必要なものもあります。また、多くの関係者を巻き込んで進めていくことが多いため、コミュニケーション力やプレゼンテーション力などの一般的なビジネススキルも求められます。

ビジネスモデルや業界の理解

どのようなビジネスにおいても言えることですが、まずはクライアントのビジネスモデルや業界の特性を理解することが重要です。

・どのような商品、サービスなのか

・ターゲットはだれか？

・価格は？

・どのような競合がいるのか？

・市場での立ち位置、シェアは？

・他にはどのような事業を展開しているのか？

これらを理解せずに進めると、クライアントとのコミュニケーションも成り立たず、早い段階でクライアントからの信頼を失うことになります。

目的と目標の設定

クライアントにWebサイトの運営目的をヒアリングし、目標数値（KGI、KPI）を明確にします。運営目的には、売上増加、問い合わせ数増加、購入数増加、訪問者数の増加などがあると思いますが、これらに対して具体的な数値目標を設定します。目的や目標が曖昧だと方向性が定まらず非効率な取り組みになる可能性があります。また、効果測定の基準がないため施策の良し悪しを判断できず、以後の戦略策定が困難になります。

課題分析

課題の分析にはいくつかの工程があります。

現状分析

クライアントのWebサイトのSEO状況を把握します。サイト構造、URL構造、サイト速度、レスポンシブ対応、内部リンク、使いやすさ、トラフィック状況、検索順位、コンバージョン状況などについて、実際にサイトを見たり、専用の分析ツールを使用して分析します。

競合分析

業界内の競合他社やランキング上位のサイトを分析します。競合分析結果と現状分析結果と比較して競合との差異を見つけ出し、上位表示するための必要事項について仮説を立てます。

キーワード・コンテンツ分析

ターゲットとするキーワードを選定し、検索ボリューム、競争率、関連性を分析してユーザーの検索意図を理解します。現在のコンテンツがユーザーのニーズと検索エンジンの要求を満たしているか評価します。上位表示されている競合のコンテンツとの差異を明確にし、コンテンツの改善に役立てます。

SEO戦略立案と施策の実行

設定した目標と分析結果を基に、具体的なKPIを設定してSEO戦略を立案します。単に上位表示をしてアクセス数を増やすだけではなく、全体的なビジネスへの影響を考慮した戦略を立案し、根拠を持ってクライアントに方向性を提示する必要があります。また、SEO施策を単に列挙するだけではなく、コストやリソース、優先順位を考慮した上でクライアントにとって最適な方法を提案することが重要です。

Webマーケティング全体の提案

SEOコンサルタントが、「SEOコンサルティングのみを行う」ケースは稀です。ほとんどのケースにおいてはWebマーケティング全般におけるコンサルティングを求められることが多いです。Webマーケティングの領域は幅広く、LP制作やWeb広告、メール配信やSNSマーケティングも含まれます。SEOコンサルティングはクライアントの目的を達成するための手法の一つですが、クライアントの抱える課題や置かれている状況に応じてより効果的な施策の選択肢を提示できる方が望ましいです。

SEOコンサルタントとしても、より広い視点であるWebマーケティングの知識を持って、コスト・リソースを最適化できる提案を行うことが求められます。

PDCAをまわす

PDCAサイクルをまわします。PDCAとは「Plan（計画）・Do（実行）・Check（測定・評価）・Action（改善・対策）」の頭文字を取った略称です。具体的には以下の作業を継続して行っていくことです。

・Plan：仮説を基にSEO戦略を立案し、施策を検討、計画する

・Do：施策を実行する

・Check：施策の効果を測定し、仮説の妥当性を検証する

・Action：効果測定の結果から新たな仮説を立てて、改善策を実行する

SEO施策を提案し実行するだけではSEOコンサルタントの仕事として不十分です。実装後、一定期間をおいて効果検証を行うことで、SEO戦略や施策の方向性の評価や軌道修正の必要性の確認ができます。また、適切な効果検証レポートを行うことはクライアントからの信頼獲得にもつながります。

SEOコンサルタントの年収

SEOコンサルタントの年収は、438万円〜625万円ほどと言われています。 

求人ボックスの調査によると、SEOコンサルタントの平均年収は548万円となっています。（2023年12月現在）

参照：求人ボックス

未経験は350万円〜380万円ほど、実務経験2年以上のスキルが求められる場合は400万円以上の求人が多いです。独立してフリーランスとなった場合、スキルが伴っていれば年収1000万円も十分目指せる職種と言えます。

SEOコンサルタントの市場価値

SEOコンサルタントの市場価値は高いと言えます。Webサイトのパフォーマンスは事業の成功に直接影響を与えるため、多くの企業が優秀なSEOコンサルタントを求めています。SEOは複雑で常に変化しているため、最新のトレンド、アルゴリズムの変更、および効果的な戦略に関する専門知識を持つSEOコンサルタントは高く評価されます。ただし、スキルを維持するためには継続的な学習の機会が必要なため、トレンドや変化する市場ニーズ、技術の進歩に迅速に適応することが重要となります。

SEOコンサルタントの将来性

SEOコンサルタントの将来性は高いと予想されます。Webサイトのパフォーマンスはどの業界でも重要視されており、Webマーケティングの市場は成長し続けています。それに伴いSEO対策のニーズも高まっています。Webマーケティングが重要なビジネス戦略であり続ける限り、SEOコンサルタントへの需要は今後も続くと予想されます。

ただし、検索エンジンのアルゴリズムは常に更新されており、AIや機械学習の進化により、SEO戦略も進化しています。SEOコンサルタントはこれらに対する適応力が求められます。

SEOコンサルタントに必要なスキル

SEOコンサルタントに求められるスキルには以下のようなものがあります。

SEOの基本知識

検索エンジンのアルゴリズムやランキング要因を理解している必要があります。これらは更新され続けていくため、常に最新の状態やトレンドをキャッチアップできる感度も必要です。また、オンページSEO（メタデータ、ヘッダータグ、キーワード最適化など）とオフページSEO（バックリンク、ソーシャルメディア戦略など）の両方に精通していることが重要です。

HTMLの基礎的な知識

HTMLとはWebサイトを制作する上で使用するマークアップ言語のことです。Title、Description、hタグなど、Webページのmeta情報を検索エンジンに認識させるための施策を行う際に必要な知識となります。エンジニアレベルでWebサイトが制作できるまでの知識を身に付ける必要はないですが、基本的なHTMLタグやある程度の専門用語を理解している必要があります。

課題分析・施策立案スキル

課題分析、施策立案を行うためには具体的な数値目標（KGI、KPI）の設定が必要です。そのためにはクライアントにWebサイトの運営目的をヒアリングするスキルや、サイトの現状分析を行うスキルが必要になります。その上で現状のサイト構造やトラフィック状況の評価、キーワードやコンテンツの分析によるユーザー検索ニーズの理解、競合サイトとの差異の分析などのプロセスを経て、上位表示するための必要事項について仮説を立てます。

この仮説に基づき、全体的なビジネスへの影響を考慮した戦略を立案し、根拠を持ってクライアントに方向性を提示する必要があります。また、SEO施策を単に列挙するだけではなく、コストやリソース、優先順位を考慮した上でクライアントにとって最適な方法を提案することが求められます。

仮説検証、運用スキル（PDCA）

施策を適切に評価するため、仮説の検証と改善のアクションを継続的に行っていく必要があります。PDCAサイクルを効果的に運用するためには、計画（Plan）、実行（Do）、評価（Check）、改善（Act）の各工程において必要なスキルが異なります。

・Plan：前述の課題分析・施策立案スキルに加え、戦略的思考や具体的なアクションプランを作成できるスキルが求められます。

・Do：プロジェクト管理と効率的なタスク実行スキルに加え、組織マネジメント力と柔軟性が求められます。

・Check：データ分析と客観的な自己評価を行い、結果を正確に測定することで成果と目標とのギャップを明確にできるスキルが求められます。

・Action：問題解決能力と創造的思考が求められます。評価結果を基にプロセスや方法を改善し、持続的な成長と効果の最大化を図ることができるスキルが求められます。

これらのスキルに基づき能動的にPDCAサイクルを運用することが持続的な成果とクライアントの信頼獲得につながります。

分析ツールの読み解き

SEOコンサルタントには分析ツールを読み解くスキルが必要です。GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールなどをはじめ、SEMrush、Ahrefsなどの代表的なSEO関連ツールを熟知していることが求められます。また、各ツールが提供するデータを理解することはもちろんですが、そのデータの背景にある原因や影響を理解し、それらがどのように影響しあっているのかを読み解き包括的な分析を行うスキルが求められます。

プレゼンテーションスキル、コミュニケーションスキル

SEOの複雑な側面をわかりやすく説明できるプレゼンテーションスキルや検証結果を適切に正確に報告できるレポーティングスキルが必要です。クライアントやチームメンバーと効果的にコミュニケーションを図るスキルも求められます。

SEOコンサルタントとして重要なこと

SEOコンサルタントして成果を収め続けるためには、前述したスキル以外にも必要なことがあります。

適応性と学習意欲

SEOは常に進化しているため、最新のトレンドやアルゴリズムの変更に迅速に適応し、新しい知識を継続的に学ぶ意欲が必要です。

自発的な提案、自分ごと感

SEOコンサルタントは、クライアントの課題を他人事としてではなく自分のこととして考えることが重要です。強い責任感を持って自ら積極的にアイディアや解決策を提案する姿勢は高い成果を引き出すだけでなく、プロジェクト全体のモチベーション向上やクライアントからの信頼獲得につながります。単に指示に従うのではなく、主体的に動き、継続的な改善と成長を促進する原動力は自身のキャリアアップにもつながります。

SEOコンサルタントのキャリア

SEOコンサルタントとして働くには、様々なキャリアパスや働き方があります。以下に3つの代表的な方法を紹介します 

企業内のSEOスペシャリスト

企業内でSEOの専門家として働く方法です。一つの組織の内部で深く関わり、その企業のWebサイトのSEOを総合的に担当します。企業のビジネス戦略に直接貢献できる一方で、多様なクライアントを持つよりも専門分野が限定される場合があります。

デジタルマーケティング会社に転職

SEOを専門とするデジタルマーケティング会社に転職する方法です。チームの一員として、様々なクライアントのプロジェクトに携わります。会社のリソースや専門知識を活用でき、安定した環境で働けますが、会社の方針に沿った仕事をする必要があります。

フリーランスコンサルタント

独立して個人事業主として活動する方法です。クライアントを自ら獲得してサービスを提供します。多様なプロジェクトに関わることができ、仕事の柔軟性が高いですが、全て自身の責任の範疇となり、高い自己管理能力や営業力が求められます。

SEOコンサルタントになるには

SEOコンサルタントになるにはさまざまなスキルや幅広い知識が必要です。成果の出せるSEOコンサルタントになるまでにはスキルと実績を地道に積み重ねていく必要がありますが、本項目では効率的にスキルを身に付けられるおすすめの方法をご紹介します。

まずは転職してみる

SEOの業務に就ける会社に転職し、実務を通じてスキルと知識を身に付ける方法です。学習＝仕事になるため、収入も得られ実践力も身に付くというメリットがありますが、業界や担当分野が限られる可能性があるというデメリットもあります。

Webマーケティングスクールを受講する

WebマーケティングスクールでSEOの基礎知識から高度な技術まで学びます。Udemy、Coursera、Moz Academyなどが提供するコースは、初心者から上級者まで幅広くカバーしています。経済的コスト、時間的コストが発生するというデメリットがありますが、SEOについて体系的に学べるメリットがあります。

SEOコンサルタントを目指す人へアドバイス

まずは基礎からしっかりと学び、継続的に知識を更新することが重要です。オンラインコースや専門書籍を通じてSEOの基本的な原則、アルゴリズムの動向、そしてテクニカルSEOについて学びましょう。次に、実務経験を積むことです。自分のWebサイトや小規模の案件などで実際にSEO戦略を立案し、PDCAを運用してみることが重要です。

SEO業界は常に進化しています。最新のトレンド、ツール、アルゴリズムの変更に常に敏感でいられるようすることが重要です。業界ニュースのフォロー、セミナーやワークショップへの参加などで知識を深めるよう努めましょう。